

日本における葬儀のほとんどは仏教式で行われていますが、仏教以外の宗教や宗派での葬儀に参列する機会は少なくありません。
文化庁が公表する宗教統計調査では日本全国には18万法人を超える宗教法人が存在します。その中のひとつに「天理教」という宗教があるのをご存じでしょうか。
今回は天理教の葬儀の流れや作法、マナーなどに関して詳しくご説明します。
目次

天理教は奈良県天理市に本部があり、市民にも根付いている事から市制を施行する際に天理市となりました。
日本で唯一、宗教団体の名称が地名に使われていて、天理高校は甲子園への出場回数も多いためご存じの方も多いことでしょう。
天理教のそもそもの始まりは、中山みきが長男の病気を癒すために山伏の加持代を務めた際に、天理教の親神と言われる天理王命(てんりおうのみこと)のお告げを聞いたことに始まります。
親神の教えは「そもそも人間の体は神様からの借りものであり、魂のみが自分自身である」というもので、借りものである身体を神様の思し召しに従って正しく使えば、親神様の御守護に繋がるとされています。

天理教では、「亡くなる=親神様から借りていた体をお返しする」とされています。
そのため、死ぬことを「亡くなる」ではなく「出直す」と呼びます。
現在の体をお返しして新たな体で自分自身である心が出直すという意味であり、仏教の輪廻転生に近い考え方とも捉えられます。
また、亡くなられた日を指す「命日」は「出直し当日」という言い方になり、訃報の連絡でも「お亡くなりになりました」ではなく、「お出直しされました」という表現になります。
決して不幸なことではないので葬儀の際にもお悔みの言葉などは用いられません。
天理教の葬儀の流れの中でもっとも重要な儀式は「みたまうつし」です。みたまうつしは、漢字で「御霊遷し」あるいは「御霊移し」表記します。
人間の体は親神様からの借りものであるという考え方から、故人の身体をお返しするために魂を一旦古い体から離して新しい体に移るまでの間、魂を神様に預かっていただくための儀式です。
魂は霊璽(れいじ)と呼ばれる白木で作られた仏教式の位牌にあたるものに移されますが、必ずしも霊璽でなければいけないわけではありません。鏡や故人が生前に大切にしていたものに移される場合もあります。
魂が移されたものを御霊代(みたましろ)と呼びます。
最近では家族葬や一日葬など小規模な葬儀を選ぶ方が増えていますが、天理教ではもっとも重要な儀式であるみたまうつしが省略されることは決してありません。
また、みたまうつしは必ず夜間に行われることから仏教式のお通夜に当たるという考え方もありますが、お通夜は故人との最後の別れを惜しむ儀式であり意味合いは全く違うものなので天理教の葬儀に参列する際は混同しないように注意をする必要があります。
みたまうつしは、天理教だけではなく神道や金光教においても同様の儀式が執り行われます。
五十日祭とは、仏教でいう四十九日にあたる法要と考えて問題はありません。
仏教では亡くなってから7回目の7日、すなわち49日目に最後の裁きがあり成仏すると考えられていますが、天理教や神道では50日間は魂は御霊代に留まり、五十日祭のタイミングで神様のもとに帰ると考えられています。
五十日祭参列の際は、御玉串料を持参する必要があります。また、御玉串料に対する返礼を天理教では偲草と称します。

天理教の葬儀は、仏教式よりも神道式に近いといえます。しかし、必ずしもすべてが神道の形式という事ではなく、天理教ならではの作法も数多く存在します。
次に、天理教の葬儀に関する手順を詳しく解説します。
お通夜・みたまうつしは天理教の葬儀のなかでもっとも重要な儀式です。
現在では一般的なお通夜が執り行われ、その中でみたまうつしの儀式が行われる場合が多くなっています。
<みたまうつしを含む天理教のお通夜の流れ>
斎主および祭官の入場。斎主とは儀式を進行させる神官で、仏教の僧侶にあたります。
神官がお祓いの言葉を奏上し、その後、霊璽、祭主、参列者を祓います。
うつしの詞を奏上し、古い身体から霊璽に魂を移します。みたまうつしの際は消灯され、暗闇の中で行われます。
故人への気持ちを込めて玉串を神様に奉納します。みたまうつしの終わりに告げるしずめの詞を神官が奏上します。
故人の家族から順に玉串を奉奠します。仏教には焼香にあたる儀式です。
斎主および祭官が退場し終了となります。儀式終了後は仏教式の通夜振る舞いにあたる飲直会(なおらい)が行われます。
天理教の告別式の流れは、お通夜とそれほど変わりはありません。
お通夜の際にみたまうつしの儀式は行われているので、この部分を除いた流れで基本的には執り行われます。
<天理教の告別式の流れ>
儀式の終了後は火葬場に出棺となります。
火葬場においても、神官による玉串奉奠・火葬祭詞を奏上があり、参列者も玉串を奉奠します。
天理教の葬儀では、玉串奉奠が度々おこなわれます。作法は以下の通りです。
また、天理教の参拝は「二礼四拍手一拝四拍手一礼」となります。
礼は30度程度頭を下げるお辞儀で、拝は90度まで深く頭を下げるお辞儀を意味します。

天理教の葬儀に参列する場合のマナーは、一般的な葬儀のマナーとそれほど違いはありません。
香典や服装のマナーに関してご説明します。
香典袋は市販されているもので問題ありません。また、天理教では故人は仏様にはならないため、御仏前は使用できません。
香典袋の表書きは御玉串料、御榊料、御霊前などを使用しましょう。
金額の相場も一般的な香典と同様です。香典の一般的な金額は以下の通りです。
<故人との関係による香典の相場>
服装もまた、一般的な葬儀と同様に喪服が基本です。
男性であればブラックフォーマルのスーツに黒いネクタイ、女性であれば黒いワンピースもしくはアンサンブルなどでも問題はありません。
ただし、数珠は仏教での法具となるので必要ありません。
日本で執り行われる葬儀は多くの場合が仏式なので、天理教の葬儀への参列は戸惑うことがあるでしょう。
しかし、葬儀に参列する際には、それぞれの宗教の考え方を事前に知ることがとても大切です。
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